コラム
6.282020
天然素材石けんに、合成系洗浄剤の100~1000倍のウィルス破壊力!
新型コロナウィルスの感染予防のために、石けんによる手洗いがすすめられています。30秒を目安に石けんをつけて手をもみ洗いして、流水で15秒すすぐ。「ハッピーバースデートゥーユー」の歌2回で、ちょうど30秒くらいになるそうです。
・30秒で数百個のウィルスが残り、残存率約0.01%
・60秒で数十個のウィルスが残り、残存率約0.001%
という報告があるので、歌い終わった後もう少しもみ洗いをして洗い流します。
『生姜とオリーブのマルセイユ石けん』で洗っていますが、泡の濃度が濃いので十分時間をかけて流水で洗い流しています。
天然石けん成分「オレイン酸カリウム」が、大半のハンドソープ製品の主成分である合成系界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムとラウレス硫酸ナトリウム)と比べ、インフルエンザウィルス破壊能力が、100〜1000倍も大きいことが明らかになりました。
Kawahara T, Akiba I, Sakou M, Sakaguchi T, Taniguchi H (2018) Inactivation of human and avian influenza viruses by potassium oleste of natural soap component through exothermic interaction. PLOS ONE 13(9)
ウィルスは外側にエンベロープという脂質からなる二重の膜を持っていますが、石けんも合成系界面活性剤もこの膜を壊します。石けんの破壊力がさらに強いのは、ウィルスが正常細胞に侵入するために表面に突き出している棘(スパイク)に取りつき、破壊することがわかりました。ウィルスのスパイクはプラスの電荷をもち、オレイン酸カリウムはマイナスの電荷を持っており、大きな力が働く電気的な作用でスパイクに吸着、ウィルスは感染できなくなり失活します。電子顕微鏡で見ると、「オレイン酸カリウム」は濃度が低くてもウィルスに穴をあけていました。
広島大学大学院、北九州市立大学、シャボン玉石けんの研究チーム
この研究は新型コロナウイルスではなくインフルエンザウィルスに関してのものですが、ウィルスの構造などから新型コロナウイルスでも同様の効果が期待できると考えられています。
この研究での「オレイン酸カリウム」は、オレイン酸を含む天然油脂を原料にした石けん素地です。カリウムはナトリウムより水溶性に優れるので、石けん業界では液体石けんの鹸化剤に使用します。「オレイン酸カリウム」とは、オレイン酸を含む天然油脂を原料にした液体石けんを指します。
新型コロナウイルス感染症の予防のため手洗い頻度が増え、手荒れも気になります。
1日に何度も手を洗い、外出するとお店に入る時や出る時にアルコールで消毒します。アルコール消毒の回数が増えると、手がピリピリ、今の季節でもハンドクリームが手放せない人もいらっしゃるようです。
医療関係者は、従来より頻繁な手洗いによる手荒れに悩まされており、刺激性の低い洗浄剤を選ぶことが求められています。
432名(回収率90%以上)の医療関係者への調査でわかった手洗い回数は、おおむね11〜20回が4割を占めており、31回以上手洗いを行っている人も13〜14%。そしておよそ7割の人が「とても手荒れしている」「やや手荒れしている」と回答しました。そこで、合成界面活性剤のハンドソープに代わって、「オレイン酸カリウム」を主な石けん成分とする自然素材加石けんを使いはじめたところ、手荒れが約5割に減少したことが報告されています。自然素材石けんは合成系ハンドソープより肌にやさしいことが確認されました。
『無添加脂肪酸カリウムを用いた手荒いせっけんの手荒れ予防に関する調査研究』INFECTION CONTROL、26,2017
また、「オレイン酸カリウム」に黄色ブドウ球菌のバイオフィルムを洗い流す洗浄力があることから、大手洗浄剤メーカーが院内感染防止策としても介護職の手指洗浄剤にすすめています。
オレイン酸を主成分とする天然素材石けんは
- 肌荒れを引き起こしにくい
- 低い濃度でも高い抗インフルエンザウィルス力がある
- 一過性菌の定着を防ぎ、健やかなスキンフローラを維持する
医療関係者だけでなく、日常生活で手を洗う回数が増えていますので、オレイン酸を主成分とする自然素材石けんで洗浄されることをおすすめします。以下のような成分名の商品をお選びください。
- オレイン酸カリウム(またはナトリウム)
- オレイン酸、水酸化カリウム(またはナトリウム)
- オリーブ油、水酸化カリウム(またはナトリウム)
- ツバキ油、水酸化カリウム(またはナトリウム)
- 参考文献
- 森功次他:感染症学雑誌、80:496-500,2006
- https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72151